残存者利益型ニッチ戦略

買う人がゼロにならない限り市場はある

社会やライフスタイルの変化、経済の成熟化、人口構造の変化などにより、市場規模が縮小するケースがあります。

そうなれば、当然のことながら供給者である企業や店舗が過剰になり、淘汰されることになります。しかし、ニーズがゼロにならないかぎり、供給者は必要です。つまり、最後まで生き残っていれば、市場がなくならないかぎり、ビジネスを続けることはできるということです。

たとえば、学生服、レコード針、下駄などの業界は、衰退市場の代表的な例でしょう。その市場で最後の一社になることを狙うのが「残存者利益型ニッチ戦略」です。

市場の衰退=個別企業の衰退ではない

札幌市で呉服の卸売りと小売りを営む株式会社和光(田中伸一良社長、従業員34名)は、残存者利益者となるべく、奮闘努力しています。

着物業界は1980年頃の2兆円をピークに市場規模が縮小を続け、現在は2,805億円にまでなっています。

そうしたなかで同社の小売部門の2店舗は、「新しい着物の世界」を提案して売上げを伸ばしています。

たとえば、JR札幌駅ビルに入居しているキモノ ハナ パセオ店は、若い女性がファッション感覚で着れる2万円から3万円の着物を、小物でコーディネートすることで、可愛く着てもらえるように提案しています。

2016年7月度は、浴衣の企画が大当たりして、JR札幌駅ビルのテナント700店を超える中で坪当たり売上げランキングのトップになったそうです。これは、2年連続の快挙です。

市場が縮小してもゼロではないかぎり、改善・革新の余地は残っています。とくに縮小を続ける衰退市場には、強力な新規参入者は入ってきません。

また、既存の業者は高齢化が進むので、新しいことにチャレンジする企業もほとんどありません。しかし、呉服業界では2,805億円分の商品を買う顧客が残っていることも事実です。

つまり、当たり前を疑い、新しいことにチャレンジできる人にとって、一人勝ちできる環境が整っていると考えることもできるのです。

株式会社和光の田中社長は、そのような考え方ができる若手経営者の一人であることは間違いありません。