ドラッカーの視点:事業規模のアンバランス

理想企業と実態にギャップがある場合

「やりたいこと」「やるべきこと」と「それらをやるための経営資源」アンバランスがあると、企業はうまく機能しません。

そうしたアンバランスを解消する方法は、(1)自前で事業を拡大する、(2)他社との合併で規模を拡大する、(3)他社や他社の事業を買収する、(4)他社と戦略的な提携関係を結ぶ、(5)他社に事業を売却する、の5つの方法があります。そこれらのうち、どれを選択するかは状況によりますが、(1)は現実的ではありません。他の4つは真剣に検討すべき課題です

会社の売却を選んてニッチ事業を存続させたA社

大学や製薬会社、食品製造会社などで使う検査用の試薬を製造販売していたA社は、東南アジアなどへの進出を考えていました。しかし、20人足らずの同社では、東南アジアへの進出は、ヒト・モノ・カネ・情報のすべての面が不足していました。

そこで、取引先である10倍近い規模の商社に吸収合併される方法を選択しました。そのおかげで、ヒト・モノ・カネ・情報不足が解消して、東南アジア進出、設備投資、研究者の採用、後継者問題を一挙に解決することができました。

そのうえ、技術志向で研究開発に専念したかった社長は、自分自身が研究開発に専念できる仕事環境まで手に入れることができました。

経営者としてニッチ事業を存続させ、社員の雇用を守り、かつ、自分の居場所まで確保したこの経営者は、称賛に価すると思ってます。

その理由は、「ベンチャー企業の経営者は、自分のみの振り方を熟考しなければならない」とドラッカーが言っているからです。