コラム:マーケティングとイノベーション

まず、捨てる

偉大なイギリスの経済学者のケインズは、「この世で難しいのは、新しい考えを受け入れることではなく、精神の隅々にまで根を張った古い考えを忘れることだ」と言った。

イノベーションとは、まさに、精神の隅々にまで根を張った古い考えを捨て去り、新しい考えを受け入れることだ。

ドラッカーはイノベーションのためには、「まず、捨てろ」と言う。特に、産業と市場の構造変化の時代にあっては、隅々まで根を張ったこれまでのビジネス・モデル(儲かる仕組み)を捨てる覚悟をしないと、生き残ることは不可能だろう。

古い考えや仕組みを捨て、経営環境にあった考えや仕組みを受け入れようとする人にとって、産業と市場の構造変化は、絶好のチャンスである。

手つかずの未開拓の市場を手に入れる可能性が大きいからだ。

イノベーションとはマーケティングに基づいて行うもの

マーケティングとイノベーションは不可分だ。市場や顧客のニーズが分からなければ、新しいものを創り出したり取り入れても、それが成果を生み出すか、どうかは分からない。

また、せっかく市場や顧客のニーズが分かっても、既存のものを既存のままで販売しても、買ってもらえる可能性は低い。

したがって、マーケティングとイノベーションは1つのものとして考える必要がある。

イノベーションはコラボで行う

マーケティングとイノベーションに基づき、中小企業では、(1)ニッチ市場に焦点を絞り、(2)他社の成功(とくに異業種)を一工夫してマネして取り入れ、自分たちの業界では初めての商品やサービスとして打ち出す。

それを自社だけ出来ればよいが、同業他社がマネできないようにするためには、(3)他社との連携(コラボレーション)が有効になる。1社ではできない仕組みにすれば、その優位性を長く保つことができるからだ。

参入障壁をつくる

誰でもできる楽で儲かる仕事は、誰でもやりたがる。反対に、苦労をしたり、手間がかかったり、儲かりそうにない商品やサービスには、誰も手を出そうとしない。しかし、そこには、必ず困っている顧客がいて、その解決策を渇望している。そこに中小企業のビジネス・チャンスが潜んでいる。それがニッチ市場だ。

しかし、そのような状況にゼロから取り組んでも、ヒト・モノ・カネ・時間が不足している中小・零細企業では、事業として成功する確率は低い。だから、他の業界で同じような状況で成功している企業や事業を探すのだ。

その方法を一部でもマネ(あるいはヒントに)できれば、新商品や新サービスの開発、あるいは新しい販売方法や新しい市場の開拓も可能になる。それが創造的模倣である。

それを、数社の強みを持ち寄って仕組みを創れば、さらに強い事業になり、他社がマネできなくなる。その有効は手段の一つが連携(コラボレーション)である。

なお、これまで連携の経験がなければ、連携することも自社にとってはイノベーションである。